■土曜日






 シーン1
 任務先で伽を命じられてカカシに強姦めいた行為におよばれるイルカ
 シーン2
 任務期間カカシに抱かれることになり、ずっとテントの中で裸のまま、時には自慰を強要されるイルカ
 シーン3
 里に戻ってからも関係をせまられ、廊下には人通りがあるというのにアカデミーの教室で行為におよばれるイルカ
 シーン4
 イルカの家にまでやってくるカカシ。玄関やら台所やら風呂場で行為におよばれるイルカ
 シーン5
 だんだんとカカシに慣らされて、野外で昼間からおねだりしてしまうイルカ
 シーン6
 カカシに愛されている事を知って大切に抱かれ、あまりの快楽に失神してしまうイルカ
 シーン7
 カカシと晴れて身も心も結ばれて積極的にカカシを誘って抱かれるイルカ



「・・・・・・・・・・」
 血の気が一気に下がる。イルカは台本を持ったままぶるぶる震える。
「イルカちゃ〜ん。この間みたいな迫真の演技ね〜。僕ちゃんのことびんびんにさせるくらい頼むよ〜」
 ガングロの監督がウインクを決める。
「濡れ場はイルカ先生にかかってますからね。普段野暮ったいのになぜかエッチの時は色気むんむんになってしまうって、みんな大好きなんですよ」
 カカイル子が鼻息荒く告げる。
「イルカ先生、リラックスリラックス」
 カカシに肩を揉まれたイルカは台本を待ったまま仰向いて白目をむいて泡を吹いて気絶した。


 えぐえぐとイルカは泣いていた。大の大人が、と言いたいところだが、あまりに堂々としかも悲しそうに泣いているから、ついつい周りを囲む面々もきついことは言えずにため息を落とす。
 うえっうえっと泣いているイルカの脇にしゃがんだカカシはイルカの膝にそっと手をおいて、優しい声で話しかけた。
「ねえイルカ先生。そんなに泣かないでくださいよ。俺も悲しくなっちゃいます」
「だっ、だっって……!」
 ずずーっと盛大に鼻水をすすったイルカは目元をごしごしと拭いながらカカシにせつせつと訴えた。
「あ、ありえませんよこんなのっ! 俺、こんなことできません。演技でもできませんっ。カ、カカシ先生だって、い、いやじゃないんですか!? いくら任務って言ったって、なにが悲しくて、お、男の俺なんかと、こんな、こんなっ! 破廉恥きわまりないこと、しなきゃならないんですかあ。意味がわか、わか、わかりません!」
 そうなのだ。突っ込まれる方はイルカだが、突っ込む方であるカカシがいいとはとてもいえない。
 かわいらしい、好いた女性相手ならともかく、演技で、男の尻を舐めたりアレをなめたり乳首を吸ったり、そして最終的には、尻の穴に……。
 そこまで思うを巡らすと、イルカの全身に一気に鳥肌がたつ。
「やだやだ! ぜっっっっったい、ヤダー!!!!! フリでも無理! 無理無理無理〜!」
 いきなり立ち上がったイルカは、うわ〜っと叫んで、その場から逃げようとしたが、足をもつれさせてすっころび、そのまま、体を丸めて、わーわー泣き出す。
 もう恥も外聞もなかった。とにかくこの場から逃げたい。早く日常に戻って、ナルトと一緒に一楽のラーメンを食べに行きたい。
「イルカ先生……」
 背中におかれた手に、びくりと震える。
 ぷるぷると首を振って拒絶の姿勢を示す。
「イルカせ〜んせ。顔あげて。俺たち以外誰もいませんから。ね」
 カカシの声が優しくて、背を撫でてくれる手も温かくて、イルカはおそるおそる顔を上げた。
 涙に濡れた視界。そこには確かにカカシしかいなくて、他に気配もない。
「……みんなは」
「うん。とりあえず出て行ってもらった。だから安心してくださいよ」
 カカシがにこにことしているからイルカは逆に縮こまる。
「お、俺のこと、やっぱりダメダメ中忍だって思っているんでしょ」
「そうだね〜。やっぱり中忍レベルなのかなってちょっと思う」
 ぐさりと胸に刺さるものがあるが、反論はできない。げんにカカシは取り乱すことなく、平然としている。イルカが頑張れたなら、撮影は順調に進むのだから。
「スミマセン。でも俺……」
 ぐしっとそこで鼻をすすったら、新たな涙がぽろりと落ちた。
 そして、いきなりカカシに抱きしめられた。


 ぎゅっと、カカシに抱きしめられている。
 ごくりとイルカの喉は鳴った。
「あの、カカシせんせい……」
 とまどうイルカに何も言わずに、カカシはイルカの背に回した手に力をこめる。
「ねえイルカ先生。今気持ち悪い? 俺にこうされるのは、いや?」
 と問われてイルカは慌ててカカシのことを突き飛ばした。
「な、なにするんですか!」
 ぺたりとしりもちをついたカカシはぼうっとしたまなざしで、イルカを見つめた。
「いや、ですか?」
「いやって言うか、男同士で、こんな……」
「いやですか?」
 しつこく問われてはたと考える。
 イルカはけしていやで突き飛ばしたわけでわない。反射のようなものだ。
「……いやでは、ないです」
 不承不承呟けば、カカシははあと息をついて、目にも鮮やかな笑顔になった。
「よかった」
「なにが、よかったんですか」
「ねえイルカ先生」
 とまどうイルカにずいと近づいたカカシは、口布を下ろしてとても自然な動きで顔を傾けると、イルカの口にそっと触れた。
 あまりに自然で、イルカは咄嗟に反応できずに涙で膜の張った目をぱちぱちとさせる。
「カカシ先生、今のは、ぅむっ!?」
 再び唇に触れるカカシ。突然の事態についていけずにいるイルカを置いて、カカシの手はイルカの頭部に回され、逃げられないように固定する。
 明確な意志を持って触れてくるカカシの唇。唇を唇で柔らかくはさまれて、吸われる。あっという間に舌が口の中に進入して、怯えて逃げるイルカの舌を絡め取る。
「っ!」
 ぬるりと気持ち悪い感触がする。なのに背中がぞくぞくとして力が抜ける。無意識にカカシの胸元にすがりついていた。
「カッ、カカシ、さんっ……」
 せっぱ詰まってなんとか声を出せば、やっとカカシが離れてくれた。
 イルカは脱力して床に両手をつく。ぜえぜえと肩で息をする。
「イルカ先生、顔あげて」
 カカシが促すようにそっと声をかけてくる。さきほどの激しさを欠片も感じさせない穏やかな声に、イルカは渋々ながらも顔をあげた。
 だが何も言えず、カカシの顔を睨み付けるようにして視線を固定させた。
「イルカ先生……」
 名を呼ばれただけなのにびくりと震えてしまう。カカシの手があがる。イルカは動けずにカカシの手が頬に触れるのを許してしまった。
「『写輪眼を持つエリート上忍のカカシ。野暮ったいけど笑顔が魅力的なアカデミーの中忍先生。仕事を通じてだけのつきあいだったのに、いつの間にか、カカシはイルカのことが気になって、自分に、自分だけに笑いかけてほしいと思うようになった』なんて、ベタな展開なんですが、ダメですか?」
 いきなり語り出したカカシについていけずにイルカは目で問いかける。カカシはもう片方の手も伸ばして、イルカの頬をそっと包み込んだ。
「だから、イルカ先生のこと、好きになっちゃった。可愛いんだもん」
 ちゅっと音をたててキスされて、そこでやっとイルカは我に返った。
「へ? は? なに? 好き? 好きって!?」
「好き。あなたに惚れました。かわいくて、たまんない」
「かっ、かわ、かわわわ、かわいい!? 誰が? 俺が? ありえねえ! ありえねえよっ」
 混乱しつつもこれは笑うところだと、イルカは必死で笑う。カカシののぞいている右目は、イルカのことをなぜか悲しそうに見つめた。
「そんなふうに、茶化さないで。俺、本気だよ? 本気の相手に、そんな仕打ちするの?」
 ずきりとくる言葉だった。一瞬で反省したイルカは素直に謝っていた。
「スミマセン。あの、茶化してるわけじゃなくて、びっくりして」
「うん。俺もごめ〜んね。いきなりでびっくりしたんだよね?」
 その通りだったから、イルカは無言でこくりと頷いた。つい子供のように口を尖らせてしまえば、そこにカカシはちょんと触れてくる。
「カカシ先生……」
「さっきみたいにカカシさんって呼んで。ね」
 ね、と甘い声でねだられて、イルカはつい呼んでしまう。カカシはくすぐったそうに笑って、イルカに抱きついた。
「このまま、逃げようか?」
 それはイルカ的には願ったりなことだが、だが、そうすると、任務失敗ということになる。それはさすがにここまできたらカカシに申し訳ない。覚悟を決めなければならない。
「……いえ。大丈夫です。俺、頑張ります。撮影、続けましょう」
「でも、ど根性セックスじゃダメなんだよ? 昨日練習したいい声出さないといけないんだよ? できるの?」
「で、できますよ。練習したんですから」
「ホント?」
 いたずらめいた微笑で、カカシの手がそっとイルカの脇腹に進入する。つ、となで上げて、指先がイルカの胸まできて、先端をソフトなタッチでつまむ。
「え? ちょっ、と」
 きゅっとこねられて、どきりと胸が鳴る。
「ね、練習した喘ぎ声、出せる?」
「痛いですっ。出せませんよこんなんじゃあ!」
「あっ、そー」
 カカシは今度は下肢に手をしのばせる。イルカのあそこを握ってきた。
「おいっ! ちょっと! カカシ先生!」
 流されそうになっていた空気が一気に吹き飛ぶ。直接的な攻撃にイルカはくわっと目をむいた。
「なんてとこ触っているんですか! 汚いでしょ!」
「そうだね〜。でも気にしないで。俺も気にしないから」
「気になるんだよっ」
 イルカは暴れるが、カカシにのしかかられてホールドされる。そんな窮屈な体勢だというのに、カカシはイルカのそこを的確に攻めてくる。
 やばいやばいとイルカの脳裏では警鐘が猛烈に、がんがんと鳴り響く。たいした経験のあるイルカではないが、カカシは、うまい、ような、気がする。
「ほんとに! やめっ!」
 ざっと下からなで上げられ、先端をくるくると遊ばれて、イルカはぎゅっと目をつむる。つむった目に反して、口が開く。
「ああ……ん!」
「あ。可愛い声。昨日練習した甲斐があったね。もっときかせて」
 息を荒くしたカカシがイルカの耳元で囁く。脳裏にダイレクトに響くカカシの声は甘くて、エロかった……。
「やぁっ……やだ……。あッ。は……んん」
「やっば。あんたエロいよ」
「やっ…ん! そんなこと、ないっ」
「じゃあ、声出さないで。ど根性セックスすれば?」
 意地悪なことを囁いて、カカシはそのままイルカの耳をかむ。
「アッ。ア……ア……」
 カカシの手の動きもピッチをあげて、イルカは登り詰めていく。
「ねえ、気持ちいいでしょ? それは俺のことが好きだからだよ」
「そ、んな……。ちがっ、う!」
「女の子みたいな声だしちゃって、かわいいよ。ホントに」
 カカシの言葉もイルカを追いつめる。下肢をしごかれ、耳をかまれて、かわいいと言われてどうしようもなく高ぶるカラダ。下肢はカカシの手の中で打ち震え、いきたがっていた。
「カカシさんっ。カカシさんっ。俺、もう、だめ……! イキ、たい……っ。いかせてぇ」
 甘えるようにカカシに体をすり寄せれば、カカシは根本を押さえて、ふっと笑った。
「じゃあ、キスして。ちゃんとした、キス、して」
 誘うように唇を舐めるカカシにイルカは顔を近づけて舌を出す。ぺろりとカカシの真似をして唇を舐める。はあと熱く息をついて、じっと潤む目で誘うように見つめた。
 ごくりとカカシの喉が動く。
「エロい顔。やっぱりイルカ先生は『普段は野暮ったいのに、エッチの時はエロい』ってことだね」
 もう何も言わせたくなくて、とにかく今はいきたくて、イルカはカカシの口を塞いだ。



→日曜日 大団円を向かえるのか(笑)!?